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今まで具体的にsiRNAをどの様に体内に取り込むのかが疑問であったが、今例ではナノ粒子が用いられているのが特に興味深い。ヒトにおいて、腫瘍細胞に入り込んで癌(がん)を引き起こす毒性蛋白(たんぱく)質の産生を阻害する遺伝子操作療法の使用に初めて成功した研究が報告された。RNA干渉(RNAi)として知られるこの遺伝子操作療法は、RNA干渉の過程で二本鎖RNAを合わせていわゆる"短い二本鎖RNA"(siRNA)を形成し、それを細胞内に導入する。細胞内に入ったsiRNAは、特定の蛋白質生成に通常用いられるメッセンジャーRNA(mRNA)を分解し、その遺伝子発現を抑制する。この発見は2006年にノーベル賞を受賞したが、研究には線虫が用いられていた。
米カリフォルニア工科大学(CalTech、パサデナ)化学工学教授のMark E. Davis氏らは、身体に注入すると腫瘍まで進み、siRNAsを腫瘍細胞に導入し、指定されたタスクを行わせる極小のナノ粒子システムを考案。今回の第1相臨床試験は、実際のメラノーマ患者を対象に実施された。
治療後の生検によって、試験は計画どおりに進んだことが確認された。同氏らは、腫瘍に直接的ではなく、インフルエンザや他の皮下注射と同様にナノ粒子を患者に注射した。ナノ粒子は順調に標的となる腫瘍細胞に向かい、適所のmRNAに付着し、問題の蛋白質の産生を停止させた。研究結果は、英科学誌「Nature(ネイチャー)」オンライン版に3月21日掲載された。
Davis氏は「副作用を抑えるにはプロセスの正確さが非常に重要である。疾患に関与する蛋白質に選択的に向かうことができ、標的外の影響を生じることなく、遺伝子レベルで攻撃して排除したい蛋白質を排除する」という。同氏らは、同システムが、多くの異なる遺伝子に到達し、これまで薬物療法をすり抜けてきた腫瘍に作用する高度に標的化した選択的方法になると考えている。
米フォックス・チェイスFox Chase癌センター(フィラデルフィア)のGregory Adams氏は「実際に治療に使用するには改良や最適化が必要なことは明らかである」としつつも、「これらは、基本的に "この蛋白質を今発現させたくない"という指示書を細胞に導入する。これは驚くべきことであり、大きな可能性を秘めている。また、この療法は従来の遺伝子療法と異なり可逆的である」という。別の専門家も「これは、特定の蛋白質の産生を停止させるために癌を促進する遺伝メカニズムに直接干渉するものである」と述べている。(HealthDay News 3月21日)
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